先週の週末に、札幌の友人と、就職支援の会社と、実家に行っていました。
あたたかく迎えていただける友人は、今更ながらよいものであります。
今回は峠の道路状況が心配なので、JRで移動しました。といっても復路のみです。
往路は出発日の前日に強風でダイヤが乱れ、その余波で上りも下りも特急オホーツクは運休していたのです。
暢気に出発時刻の10分前にタクシーで駅へ行くと全便運休の張り紙がありました。特別に代替手段も示されていなかったため、往路分のチケットを払い戻してもらい近くのバスセンターへ参りました。案の定、切り替えたお客が何人も詰め掛けており、既に都市間バスに空席はありませんでした。あきらめて日程の再調整をと考えましたが、それも億劫なのでキャンセル待ちを依頼して待つこと5分、先行するキャンセル待ちのお客が申し出ない様子で、運良く私に席が回ってきたのです。
そんな復路はたっぷり余裕を持ってJR札幌駅へまいりました。
時間が有るときには必ず立ち寄る書店でぶらぶらし、まだ出発時刻まで時間があるので、久しぶりに小説コーナーの新刊本を眺めて楽しんでおりました。何年ぶりか、もう随分小説を読んでいなかったので数冊手に取り、西通り改札付近の宮腰珈琲で暇つぶしです。
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宮越珈琲のフロアの奥に細長いスペースがあり、静かに読書ができます。ごつい木製の椅子とテーブルで雰囲気は良いのですが、長時間据わっていると尾てい骨がいたいのです。時々姿勢を正して集中します(笑)。
隣の席が空くと、次には20代のショートパンツで豹柄のショートブーツに真っ赤なベレー帽の女の子が座った。店員とのやり取りから誰かと待ち合わせをしている様子だと分かった。しきりに携帯のメールでやり取りしていた。どんな相手が来るのかと、無関心を装い件の小説に集中して読み進めた。何ページか読み進むうちに待ち合わせの彼がやってきた。現れたのは30代後半か40前半と思しきサラリーマン風の小柄の男である。土曜日の昼真っから怪しき二人。
聞き耳を立てるわけでもなく、隣の席なので聞こえてきた会話から、彼は観光業界の営業で札幌と層雲峡にあるホテルの営業のようだ。そしてその彼が赤いベレー帽の女にいろいろと質問をするので、そのやり取りから彼女のプロフィールが見えてきた。
中国は広州から来た留学生で北海道大学の2年生だという。日本語検定二級で日本に憧れを持った女子大生とのことだ。卒業したら翻訳業か通訳業をしたいと夢をかたっている。北大を選んだ理由の一つに雪を見たかったとも、だが二度目の冬を乗り越えた彼女は、想像以上の寒さを楽しんでいるようでさえあった。
アラフォーの営業マンは、台湾からの団体客が多く自らサポートするために、中国語会話を赤いベレー帽の彼女に個人レッスンの依頼をし、その初対面であったようだ。暫く互いに情報交換をしていて、気がつくと発音の練習?が始まりまった。赤いベレー帽の彼女がアラフォーの営業マンの発音をチェックしている。どの程度の能力かを測っている様でもある。
小池 昌代
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012-03-01
厩橋を毎日渡っていた私には当時を思いだす切欠となった。窓から見える隅田川や毎月のように催される浅草界隈のお祭りやイベント、何気ない状況描写を懐かしく思った。 マンションの屋上から見る花火は、浴衣の彼女とともに忘れえぬ一こまである。気になったというか、引っかかった記述はリベットの頭である。あれは半円ではなく半球ではないのか・・・